退職後の住宅ローンの注意点と老後破綻を回避するための方法を解説

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退職後の住宅ローンの注意点と老後破綻を回避するための方法を解説

晩婚化に伴い、住宅の取得時期が遅れ、退職後も住宅ローンの返済が続いている人が増えています。

住宅ローンをきっかけに、退職後、老後破綻に陥ってしまう人も少なくありません。

  • 年金だけでは住宅ローンが払えなくて困っている
  • 繰上返済する目論見であったが、できなかった
  • 80歳完済で住宅ローンを組んでいるが返せるかどうか不安である

そこで今回の記事では「退職後」の住宅ローン返済にフォーカスしてお伝えいたします。

この記事を読むことであなたは退職後における住宅ローンの支払いの注意点と老後破綻を回避するための方法について知ることができます。

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目次

退職後の住宅ローン返済

寿命とずれている住宅ローンシステム

平成29年9月、安倍内閣の中に「人生100年地代構想推進室」というものが設置されています。

この推進室は、人生100年時代を見据えた経済・社会システムを実現するための政策のグランドデザインに係る検討を行うために設置されました。

日本の国民の平均寿命が80歳を超えた今、「人生100年」という時代が現実味を帯びつつあります。

そのため、政府も本腰を入れて人生100年時代に向けた準備をしているようです。

人生100年となると、今までの色々な人生設計の常識が通用しなくなってきます

その一つが住宅ローンです。

100歳まで生きるのであれば、50歳で住宅を購入しても、まだ残り50年も時間があります。

時間だけは十分にありますが、実際には50歳で住宅を購入してローンを組むのは無謀です。

住宅ローンは、サラリーマンのような安定した職のある人の方が組みやすいローンです。

ところが、サラリーマンの安定には終わりがあります。

サラリーマンは退職を機に急激に収入が減ってしまうという大きなリスクを抱えています。

従来、70歳程度で死亡するのであれば、60~65歳程度の定年というのは、ちょうど良い長さでした。

現役時代は頑張り、残りの人生はのんびりと余生を過ごして、健やかな老後を送るには、適切な時間設定です。

ところが、100歳まで生きるとなると、65歳定年を迎えても、あと35年も人生があります。

収入は激減し、社会とのつながりが断絶されてしまう期間が35年もあるのは少し長過ぎます。

100歳まで生きるのであれば、50歳で結婚や住宅購入を行っても、十分に時間はあるはずですが、定年があるサラリーマンというシステムでは、結婚や住宅購入の後ろ倒しは極めて難しいというのが実際のところです。

しかしながら、現実社会では、既に結婚も住宅購入も後ろ倒しは始まっています。

以下に、株式会社リクルート住まいカンパニーが調査した新築マンションの購入の平均年齢を示します。

首都圏 関西圏
新築マンション 2012年 37.4 37.7
2013年 38.3 38.9
2014年 37.8 38.5
2015年 39.0 39.0
2016年 38.2 39.5

※株式会社リクルート住まいカンパニーの調査結果より筆者が編集

上表を見ると、ここ数年は新築マンションの購入者の平均年齢は40歳弱になっているということが分かります。

住宅購入の平均が40歳だとしたら、35年ローンを組むとなると、完済年齢は75歳になります。

既に平均レベル人たちが、定年退職後も10年も住宅ローンを支払わなければいけない状況になっています。

そのため、退職後の住宅ローンの話は、他人ごとではありません。

平均的な人が既に退職後も住宅ローンを払わなければならないという状況になっており、退職後の住宅ローンは多くの人に関わる話題と言えるのです。

年金では返せない住宅ローン

では、退職後、年金生活で住宅ローンが払えるかどうかを検証してみます。

総務省の調査では、定年退職後の老後夫婦の平均的な生活費は以下のようになっています。

下表の中には住宅ローンの返済が項目としてありません。

項目 金額
食費 66,000円
水道光熱費 22,000円
家具日用雑貨 9,000円
服飾品 7,000円
医療費自己負担額 15,000円
交通費・通信費 29,000円
教養娯楽費 25,000円
交際費・小遣い等 55,000円
合計 228,000円

また、65歳以上の標準的なサラリーマンがもらえる年金は、以下のようになっています。

対象者 金額
本人 160,000円
専業主婦 60,000円
世帯合計 220,000円

平均的な老後世帯では、住宅ローンの返済以外で毎月228,000円がかかります。

ところが、平均的な年金は220,000円しかもらえません。

しかも、この年金は現在の数値であり、将来、標準的なサラリーマンが220,000円ももらえるかどうかも分かりません。

平均的な人は、既に退職後10年間も住宅ローンを払わなければいけない状況。

さらに平均的な人は、年金は生活資金のギリギリ目いっぱいであり、年金だけでは住宅ローンは返せないということになります。

まだ定年退職を迎えていない人は、老後の収支状況をしっかりと把握することを始めることが重要です。

年金では住宅ローンを返せないと想定される人は、退職する前に住宅ローンを完済できるように返済計画を練り直してください。

繰上返済のし過ぎには要注意

ただし、子供がまだ小さい人は注意が必要です。

子供が小さいうちは、まだあまりお金がかかりませんが、子供が高校生や大学生になったとき、大きな支出が発生します。

子供が小さいうちは、将来の教育資金のために繰上返済はせずに貯金に回しておくことが重要。

焦って繰上返済し過ぎると、子供が大学生などになったときに、お金が無いという事態が発生しかねません。

たまに子供が小さいうちに繰上返済し過ぎて、子供が大きくなったときに、貯金が無く教育ローンを組む人がいます。

教育ローンは住宅ローンよりも金利が高いため、不利なローンです。

住宅ローンは金利が安い有利なローンですが、有利な住宅ローンを返し過ぎて、不利な教育ローンを借りるのは本末転倒です。

繰上返済などは、子供の教育費がかからなくなった後に、ペースを上げて行うようにして下さい。

ただ、ここでも老後の蓄えも作っておく必要がありますので、繰上返済のし過ぎは要注意になります。

子供の教育資金と老後の生活資金は確保しながら、退職前までに住宅ローンを返済できるような計画を立ててください。

以上、ここまで退職後の住宅ローン返済について見てきました。

では既に退職を迎えてしまい、住宅ローンの支払いがきついという人はどうすべきでしょうか。

そこで次に借換の可能性について見ていきます。

住宅ローンの借換の可能性

金利から借換の可能性を検証する

住宅ローンの支払いが厳しくなったとき、最初に行うべき取組は借換の検討です。

住宅ローンは70歳までなら申込みができるため、一定の収入があれば借換の見込みがあります。

ただし、借換には事務手数料等の費用が30万円~100万円程度発生します。

そのため、借換のメリットを受けるには、以下のような条件のいずれかを満たしておく必要があります。

  1. ローン残高が1,000万円以上ある人
  2. ローン残存期間が10年以上ある人
  3. 借換の前後で金利差が1%以上の差がある人

退職後も住宅ローンが残っている人は、上記3つの条件の中で「③借換の前後で金利差が1%以上の差がある人」が多いと思われます。

昔借りたままで、一度も借換をしてこなかった人は、金利が高いままの可能性もあります。

金利引下げ交渉という手もある

尚、上記①~③に該当しない場合には、今借りている銀行に対し、金利の引下げ交渉を行ってみるのも一つです。

銀行も、今の顧客を他行には取られたくないため、他行への借換をちらつかせれば、今よりも金利を下げてくれる可能性はあります。

銀行と交渉して金利が下がれば、ほとんど手数料はかかりません。

毎月の返済額を減らすのであれば、銀行との金利引下げ交渉でも、十分効果を発揮することができます。

借換する前の注意点

ただし、このような借換ができる人は、リスケジュールや滞納をしていない人に限られます。

リスケジュールとは、返済のスケジュールを一時的に伸ばして再スケジュール化することで、毎月の返済額を減らすことを言います。

「リスケ」とか「条件変更」と呼ばれます。

リスケジュールは滞納の一歩手前の人が行う一時的な減額方法です。

リスケジュールが認められる期間は、通常、3年程度で、その後は通常の返済額に戻されます。

ところが、このリスケジュールのような条件変更を行うと、その人は破綻懸念先の債務者として扱われます。

つまり、ひょっとしたら住宅ローンを返せなくなるような危険な人物とみなされてしまうのです。

借換とは、あくまでも返済が正常な人が、正常債権に借り換えることを指します。

リスケジュールを行っているということは、不良債権であるため、他の銀行が不良債権を正常債権に借り換えることはできません。

そのため、退職後に住宅ローンの支払いがキツイという理由で、安易にリスケジュールを行うことは避けてください。

まずは今までの返済を継続して、正常債権の状態を維持し、そこから借換を検討するのが鉄則です。

ただし、70歳を超えていると、通常の借換を申し込むことはできません。裏技として親子リレーローンが存在します。

そこで次に親子リレーローンについて見ていきます。

親子リレーローンによる借換

親子リレーローンとは、親と子供で住宅ローンを組み、親子二代に渡ってローンを返済できる住宅ローンのこと

親子リレーローンでは子供の年齢が優先されるため、70歳を過ぎていても35年ローンを組むことが可能です。

しかもフラット35の親子リレーローンであれば、公的年金も収入として認めてもらうことが可能です。

フラット35とは、住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)が民間金融機関を支援することにより供給されている長期固定金利型の住宅ローンです。

フラット35は、通常の民間の金融機関(銀行)が窓口となって商品を取り扱っています。

親子リレーローンを組むと、子供は連帯債務者となります。

住宅ローン控除に関しては、親も子もW適用できるというメリットがあります。

返済の一部を子供に負担してもらうことができるため、返済もかなり楽になります。

親子リレーローンを活用して、老後破綻を回避するようにしましょう。

親子リレーローンについては、下記に詳しく記載していますので、ぜひご参照ください。

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これから退職を迎える人の住宅ローンの向き合い方

これから退職を迎える人は、退職までに住宅ローンの完済を目指してください。

一番良いのは、退職後に住宅ローンの支払いがない状態にしておくことです。

住宅ローンを完済しておくと、もし、戸建住宅であればリバースモーゲージも活用できる可能性があります。

リバースモーゲージとは、土地を担保にして銀行から年金的な融資を受ける制度です。

リバースモーゲージでは死亡時に、土地を売却することで借りたお金を返済する逆住宅ローンになります。

退職後に年金的な可処分所得が増えるため、老後の生活が少し楽になります。

子供たちに残す必要性のない住宅であれば、退職前に住宅ローンを返済してしまい、退職後はリバースモーゲージで、年金的なお金を受領するというのも一つの考えです。

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まとめ

退職後の住宅ローンの注意点と老後破綻を回避するための方法を解説してきました。

住宅ローンは退職後に残さないようにするのが鉄則です。

退職後に残ってしまう場合には、まずは借換から検討していきましょう。

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