弁護士に相談したいと思っても、高額な費用が怖くて相談できない人は多いと思います。
特に住宅ローンで問題を抱えている人であれば、お金が無いために誰にも相談できない方が多いです。
- 弁護士費用ってどれくらいかかるのだろう?
- そもそも弁護士は何と?を解決してくれるのだろう?
- 弁護士には、どのようなことを相談すれば良いのだろう?
弁護士費用は、弁護士にどのような方法で債務整理を行うのかで、かかる費用が異なります。
債務整理の方法は、債務者が置かれている状況や、債務者の希望を加味して選択することが必要。
そこで今回の記事では住宅ローンに関わる「弁護士」にフォーカスしてお伝えいたします。
この記事を読むことであなたは住宅ローンに関して弁護士に依頼できることは何か、または費用はどの程度かかるのかを知ることができます。
住宅ローン関係で弁護士に相談する4つの内容
住宅ローンは銀行からお金を借りているので、当たり前ですが「借金」をしていることになります。
つまり借金を返せなくなった場合は、何らかの手続(債務整理)が必要です。
借金の債務整理には、「任意整理」「個人民事再生」「自己破産」の3種類の方法があります。
また住宅ローンは夫婦で連帯保証人や連帯債務者となっている場合があり、「離婚」においても弁護士に相談することがあります。
以下に、それぞれの内容について解説します。
弁護士への相談内容1.任意整理
任意整理を弁護士に依頼すると、弁護士が代理人となって債権者と交渉してくれます。
任意整理を弁護士に頼むメリットとしては、弁護士は専門知識を持って対応してくれるため、消費者金融のような怖い債権者に騙されなくて済むということです。
また任意整理は裁判所の手続きを踏まないため、解決の時間も早いというメリットもあります。
任意整理が向いている人は無担保ローンを抱えている人
任意整理に向いている人は、住宅ローン以外にもローンを抱えている人です。
任意整理では、基本的に住宅ローン以外のローンの債務圧縮を行います。
任意整理では、住宅ローン以外の債務を圧縮し、住宅ローンは引き続き支払いを続けることを目標とします。
それでも住宅ローンの支払いができなくなった場合には、競売もしくは、任意売却を選択します。
任意整理と任意売却は言葉が似ていますが、全く別物です。
まとめると任意整理とは、あくまでも交渉によって住宅ローン以外の債務の残額を減らすことです。
一方で、任意売却とは不動産の売却によって住宅ローンの残債を一括返済することを指します。
住宅ローン以外のローンを抱えており、なおかつ、今の家に住み続けたい人であれば、とりあえず住宅ローン以外のローンを圧縮することが第一歩です。
今の家に住み続けることを希望し、また早期に他の債務を圧縮したい人であれば任意整理が向いています。
弁護士への相談内容2.個人民事再生
裁判所を利用した法的手段であるという点が任意整理とは異なります。
住宅ローン以外のローンを圧縮する個人民事再生は、「住宅ローン特則付きの個人民事再生」と呼ばれています。
住宅ローンは払い続けることになりますので、今の家に住み続けることができます。
また「住宅ローン特則付きの個人民事再生」では、住宅ローンの支払期限を延長することもできる点がメリットです。
住宅ローンの支払期限を延長すれば、毎月の返済額を少なくすることができます。
さらに、住宅ローン以外の債務については、残債額に応じて、下表のように債務を下げることができます。
残債務額 | 最低弁済額 |
---|---|
100万円未満 | 全額 |
100万円以上、500万円未満 | 100万円 |
500万円以上、1,500万円未満 | 債務額の5分の1 |
1,500万円以上、3,000万円未満 | 300万円 |
3,000万円以上、5,000万円以下 | 債務額の10分の1 |
個人民事再生も、任意整理と同様に、住宅ローン以外にもローンを抱えている人に向いています。
弁護士への相談内容3.自己破産
住宅ローン以外のローンを抱えていなくても、単純に住宅ローンの支払いだけが苦しい人でも利用する意味があります。
自己破産とは、元々、借金の返済が不可能な人を救済し、経済的再生の機会を与える法的な制度です。
自己破産は、以下のメリットとデメリットがありますので、自己破産を選択すべきがどうかは、良く弁護士と相談することが重要です。
メリット | デメリット |
---|---|
①免責が得られれば借金が無くなる(税金等は除く)。 ②精神的に楽になれる。 ③過去の負債が合法的にリセットできる。 ④負債を相続人に残さないですむ。 ⑤最低限の生活は守られる。 ⑥債権者からの督促等はすべて弁護士が受ける。 |
①官報に名前と住所が掲載される。 ②ブラックリストに載る(クレジットカードが利用できない、新規のローンが組めない)。 ③資産を手放さなければならない。 ④一定の仕事(弁護士や公認会計士、税理士、公証人等)に就くことができない。 ⑤連帯保証人に迷惑がかかる。 |
自己破産では自宅を売却することになるため、自宅に住み続けることはできません。
自宅に住み続けることができないという点においては、任意整理や個人民事再生と大きく異なります。
自己破産を選択した場合の資産の売却方法は、任意売却でも競売でも、どちらを選択しても構いません。
ただ、競売は住宅ローンの滞納が始めってから売却までに1~1.5年かかります。
それに対し、任意売却は短期間で売却されてしまいます。
自己破産では、競売でも任意売却でも、売却後に残った残債は免責されるため、少しでも長く住むことのできる競売を選択した方が有利になります。
弁護士への相談内容4.離婚
基本的に、離婚と住宅ローンは無関係ですが、以下のような住宅ローンの組み方をしている場合は、離婚と同時に住宅ローンの問題を解決した方がベターです。
- 一方が主たる債務者で、パートナーが連帯保証人の場合
- 夫婦ともに連帯債務となっている場合
これら2つは夫婦の収入を合算した世帯収入を前提として住宅ローンを組んだ場合となります。
それに対し、連帯債務とは、主債務者と連帯して負う債務を言います。
これらはお金を借りるときの一つの契約形態で、離婚と同時に自然と解消されるわけではありません。
連帯保証や連帯債務は、離婚をしたとしても、その関係は続きます。
連帯保証の注意点
連帯保証では、離婚後、主たる債務者が自己破産をするような場合に問題になります。
自己破産をすると、主たる債務者は債務を免責されたとしても、連帯保証人は債務を免責されることはありません。
そのため、例えば離婚後10年以上経った後でも、元夫がいつの間にか自己破産をしていた場合、突然、元妻のところに債務の返済通知が来るという問題が生じることがあります。
連帯債務の注意点
連帯債務では、住宅の所有形態が共有となっていることが多いです。
共有物件の場合、売却の際は共有者の全員の同意が必要となります。
共有状態を放置したまま離婚し、離婚後、相手の連絡先が分からなくなってしまうこともあります。
そのような場合、もし住宅を売却したいと思っても、共有者の同意が得られないため売却できないという問題が生じます。
そのため、離婚後の将来のことを考えると、連帯保証や連帯債務は離婚時に解消してしまうことがベターです。
連帯保証や連帯債務は、債務を返済することによって解消されます。
住宅を売却すれば、財産分与の問題も出てきます。
財産分与等で揉めてしまうようなことがあれば、弁護士に相談するということになります。
以上、ここまで住宅ローン関係で弁護士に相談する4つの内容について見てきました。
では、これらのことを弁護士に相談した場合、一体費用はどれくらいかかるのでしょうか。
弁護士費用の相場はどれぐらいか
弁護士報酬は「着手金」と「成功報酬」
よく「破産は余裕のあるうちにしろ」と言われます。
破産などの債務整理には弁護士費用などのお金がかかるため、本当にお金が無くなってしまうと破産すらできないためです。
破産などの債務整理は、本当にお金に困り切ってしまう前に行うことが重要です。
ギリギリまで問題を抱え込まず、早めに弁護士に相談することがオススメ。
弁護士報酬は、着手金と成功報酬に分かれます。
「任意整理」「個人民事再生」「自己破産」の3種類の費用の相場は下表の通りです。
債務整理の種類 | 時点 | 費用相場 |
---|---|---|
任意整理 | 着手金 | 債権者1人につき3万円~5万円が必要。 |
成功報酬 | 減額された借金額の10%が多い。過払い金がある場合は回収した過払い金の20%程度。 訴訟によって過払い金を回収した場合は回収額の25%程度。 |
|
個人民事再生 | 着手金 | 20万円~30万円程度。 |
成功報酬 | 再生計画が認められれば10万円~20万円。 | |
自己破産 | 着手金 | 20万円~30万円程度。 |
成功報酬 | 免責が認められれば、10万円~20万円。 ただし、成功報酬を不要としている場合もある。 |
また、離婚も弁護士に相談するとお金がかかります。
離婚の場合は、協議離婚と調停離婚で若干金額が異なります。
調停離婚の方がやや高めです。
解決方法の種類 | 時点 | 費用相場 |
---|---|---|
協議離婚 | 着手金 | 10万円~20万円程度。 |
成功報酬 | 離婚が成立した段階で30万円~50万円程度。 | |
調停離婚 | 着手金 | 20万円~30万円程度。 |
成功報酬 | 離婚が成立した段階で30万円~50万円程度。 | |
財産分与・慰謝料 | 成功報酬 | 回収できた金額の10%~15%程度。 |
さらに、財産分与では成功報酬体系で費用が加算されるため要注意です。
財産分与された額が大きいと、弁護士費用が思わぬ高額に跳ね上がります。
例えば1,000万円の財産分与を勝ち取ったと場合、成功報酬が10%だとしても100万円もの弁護士報酬が発生してしまいます。
協議離婚等の費用に加えて発生する金額であるため、事前にきちんといくらかかるのが把握するようにして下さい。
無料で法律相談する方法
困ったときの法律相談は、弁護士だけとは限りません。
一定の法律相談であれば司法書士でも可能です。
弁護士は映画やテレビドラマなどでも登場するため、知名度が高いです。
そのため、困ったことが起こると弁護士を思い浮かべる人が多いです。
ただ、法律の専門家には司法書士という国家資格を持った人たちもいます。
司法書士の資格試験の難易度はかなり高く、司法書士の人たちは法律の相当な専門家であることは間違いありません。
そのため、司法書士に相談しても、十分に正確な回答を得ることができます。
借金に困っている人たちは、司法書士の存在を知らない人も多く、わざわざ弁護士に頼まなくても良いような事案まで弁護士に頼んでしまっている人たちも多いです。
司法書士に関しては、以下の2つの相談先で無料の相談をすることが可能です。
相談先 | 内容 |
---|---|
司法書士総合相談センター | 無料相談が可能です。 |
法テラス(日本司法支援センター) | 相談内容に応じて弁護士会や司法書士会が紹介されます。 |
いきなり弁護士に行ってしまうと、相談だけでも費用が取られてしまいます。
まずは、司法書士に無料で相談をしてみて、弁護士に相談に行くべきかどうかの判断を仰いでみることが必要です。
例えば、任意整理などは司法書士でも可能です。
司法書士に任意整理を依頼した場合の金額は、以下のようになります。
着手金などは弁護士よりは、少し割安になります。
債務整理の種類 | 時点 | 費用相場 |
---|---|---|
任意整理 | 着手金 | 債権者1人につき2万円~3万円が必要。司法書士会連合会の指針で5万円が上限としている。 |
成功報酬 | 減額された借金額の10%。過払い金がある場合は回収した過払い金の20%。 訴訟によって過払い金を回収した場合は回収額の25%。司法書士ではこれらを上限として定めている。 |
費用を抑えたい場合には、まずは司法書士に無料相談を行ってみて、探りを入れるようにして下さい。
まとめ
住宅ローンで弁護士に相談する内容の基礎知識と費用について解説してきました。
弁護士に何を相談するかは、自分の債務の状況に応じて変わります。
よく分からない方は、とりあえず司法書士の無料相談を活用して方向性を決めてから弁護士に相談するのが良いでしょう。